「外国人の保護率は日本人よりも高い。いま何からの対策を取らなければ、増え続ける外国人が生活保護にどんどん入り込み、日本人で困っている人に生活保護の恩恵が届かなくなる。」
検証
外国籍者の保護率が、日本人よりも高いことは事実です。厚労省統計によれば、日本人を対象とした法令に基づく保護率は2019年16.4‰、2023年16.2‰で推移しています。一方外国籍者を対象とした行政措置(準用)について算定してみると、入国した外国人全て(総在留外国人)に占める割合では2019年18.4‰、2023年15.7‰、「短期滞在」者を除いた場合は2019年22.7‰、2023年19.1‰となり、日本人の保護率よりも若干高くなっています。
しかし、日本人被保護者数は、2,020,576人(2023年)であるのに対し、外国人数は65,683人と全体の3パーセント程度に過ぎず、外国人の保護率が高いことによる保護財政全体に与える影響は極めて小さいレベルにとどまっています。
また、この5年間、在留外国人数は増加の一途をたどっていますが、保護率の推移は、日本人、外国人とも減少しています。長期的に見ても、外国人保護件数は、日本人の保護件数とパラレルに推移しており、外国人だけが突出して保護率が上昇している、という現象は見られません。
結論
「外国人の保護率が日本人よりも高い」ことは事実ですが、保護財政全体に悪影響を与えるほどではありません。
この5年間だけを見ても、外国人人口全体が増加しているにもかかわらず、外国人の保護率は減少しています。ゆえに、「増え続ける外国人が生活保護にどんどん入り込んでくる」という主張に根拠はありません。